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不動産の減価償却:会計上の利益と損失

10億円のビルが建設されたとします。ビル建設を発注した企業の収益は、それまで1億円だったものが3億円になるとします。また、建設を発注した企業は、10年定額法で毎年1億円ずつ償却していくとします。

建設を発注した企業は、ビルが建設された年に、10億円の建設投資をして収益が3億円であるわけから、この年は差し引き現金7億円の出超となる。ところが、会計上は、1億円だけを費用として計上するため、会計上の利益は3-1=2億円である。また、発注企業により支出された10億円は、建設会社や家計に入り、乗数効果をもたらす。この10億円のうち1億円だけが経費なので、経済全体では9億円の会計上の利益がもたらされます。

しかし、翌年はもうビルを建設しないとすると、建設を発注した企業は、収益3億円に対し減価償却費1億円を計上する。減価償却は会計上の費用であるため、実際は3億円の入超でありながら会計上の利益は2億円となる。この企業の収益を支えるために、その他の会社・家計は合計で3億円の赤字を計上しているため、経済全体では、2-3=-1億円の会計上の損失がもたらされます。

このような歪みが生まれるのは、投資をする側にとっては、単年度の投資費用すべてが経費にはならないのにたいして、投資を受注する側にとっては、単年度の利益がすべて収益となるためです。


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